行動経済学の代表的な理論?

プロスペクト理論

2002年にノーベル賞を受賞した行動経済学のダニエル・カーネマン氏が提唱した理論として有名なのは?

A:リスペクト理論

B:プロスペクト理論

 


解 説

プロスペクトはProspectと表記されます。
予想、見通し、見込み、将来性といった意味です。

 

そもそも行動経済学とは、心理や感情をもとにした人間の行動を分析する経済学のこと。

一般的に、経済学では「人間は自分の経済的利益を最大限にする」ことを基準として行動するとされています。
非常に合理駅ですし、わかりやすい行動基準です。
人間はこの行動基準を元にする、という前提があって、経済状況の研究や分析をしていくわけです。

 

一方で行動経済学は、「人間は必ずしも合理的には行動しない」と考えます。

これにより、前述の一般的な経済学では、説明しきれなかった社会現象や経済行動ができるようになったんですね。
これに加え、カーネマン氏がノーベル経済学賞を受賞したことでいちやく行動経済学が脚光を浴びるようになりました。

さらに、2013年には同じく行動経済学者のロバート・シラー氏が、2017年にはリチャード・セイラー氏も行動経済学でノーベル賞を受賞しています。
今まさに行動経済学が大流行という状況です。

 

さて、問題の「プロスペクト理論」は、置かれた状況によって意思決定が異なってくるとした理論です。

 

もう少し具体的に言うと、人間は

・確実な利益を取ろうとする
・リスクはすべて回避しようとする

ことを優先に行動するとした理論です。

「得するより損をしないほうを優先する」という人間の心理を表していると言われています。

 

たとえば次のような2つのクジがある場合、どちらを引くでしょうか。

(1)100万円が100%の確立で当たるクジ
(2)150万円のクジが90%で当たるが、ハズレは何ももらえないクジ

この2つのクジでは、ほとんどの人が(1)を選択します。
(2)も損はないはずですが、(1)の確実な100万円をとろうとするわけですね。
これが「確実な利益をとろうとする」心理です。

 

では、次の2つのクジではどちらを引くでしょう。

(1)50万円を100%の確立で失うクジ
(2)100万円を90%の確立で失うクジ

この場合、多くの人は(2)を選択するそうです。
これが「リスクはすべて回避しようとする」心理ですね。

 

「1万円を得した」より「1万円損した」このほうが強く記憶に残っていたりしませんか?
プロスペクト理論によると、人間はリスクは回避したいと願っているのですから当然の結果です。

最近では、このプロスペクト理論を応用した広告手法も実践されています。
「○月中に申し込めば申込金0円」といった期間限定キャンペーン、「満足できなかったら全額返金」といった返金キャンペーンはその典型例です。
人々の損をしたくない心理をあおったものですね。

 


答え:B

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