「現状維持バイアス」の意味で正しいのは次のうちどちら?
A:現状を維持しながら、さらに上のステップに行きたいという心理作用
B:現状のままでいたいという心理作用
答え:B
広辞苑によると、バイアスは以下のような説明がされています。
(1)斜め。偏り。偏向
(2)真空管やトランジスターが所定の動作状態になるように、真空管の格子やトランジスターの各電極等にかける一定の電圧
(3)バイアス・テープの略
女性の方なら、(3)バイアス・テープはご存じですよね。
手芸などで用いる、布の端をくるんだり、フリルにしたりするテープです。
恥ずかしながら、私は(2)を知りませんでした。「バイアス回路」などと使うそうです。
現状維持バイアスのバイアスは(1)です。
偏向、という意味は先入観や偏見に通じます。
転じて、調査などで回答に偏りを生む要因をバイアスということも。
「バイアスが掛かる」という表現もありますよね。先入観にとらわれている、という意味です。
つまり「現状維持バイアス」は、現状維持に傾く心理状態、というわけ。
よほどの状態に置かれない限り、現状のままでいたいと思う心理作用のことです。
未知なものや未体験のものを避けようとする気持ちですね。
一般的に、人は変化を嫌うと言われています。
それは、人が同等のものを得たときよりも、同等のものを失ったときのほうがインパクトが強いせいとか。
喜びよりも喪失感のほうを大きく感じてしまうんですね。
仮に、何かの行動をしようとしたとき、
・1000円を得られるかもしれない
・1000円を失うかもしれない
としたら、行動をしない選択をとりやすいというわけです。
そのため、現状維持バイアスがかかるとか。
引っ越しや転職、新しい事業へのチャレンジなど尻込みする心はありますよね。
よっぽどのことがなければ、現状維持がいいと思いがちです。
いかし、個人の意思、また行動に対しては、現状維持バイアスにとらわれた人になるよりも、新しいチャレンジを試み、人々の現状維持バイアスを巧みに利用するほうがビジネスでは成功を収めるのではないでしょうか。
消費者心理に目を向けると、ここにも現状維持バイアスがあります。
いつものメーカーの、いつものブランド、いつもの商品。
同等のものが別のメーカーにあっても、変える必要がなければ、いつもの品を選びがちです。
他社製品を買うお客様に対して、その現状維持バイアスをいかに崩せるか。
逆に、自社製品を買うお客様には、現状維持バイアスをいかに保たせるか。
お客様に対しては、これが企業の課題になるのかもしれません。
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